糖尿病の献立の基本
糖尿病の食事療法では、食品交換表というものが用いられます。これは、約500種類の食品を、主に含まれる栄養素によって6つに分け、この中で食品を交換しながら献立を考えていくというものです。
表1「主食の仲間」
表2「果物の仲間」
表3「魚・肉・卵・大豆・チーズ」
表4「乳製品の仲間(チーズは除く)」
表5「油の仲間」
表6「野菜の仲間(こんにゃく、海藻、キノコを含む)」
例えば、表1の「主食の仲間」では、食パン30gとご飯50gを交換することができます。交換できるのは同じ仲間の中だけで、表1と表2の食品の交換はできません。主食のごはんと、果物のリンゴは交換できないということになります。
糖尿病食の献立を考えるにあたって基本となるのは、まず主食を表1のご飯、パン類、麺類から1種類選びます。
次に主菜は、表3の魚・肉・卵・大豆・チーズの中から選びます。そして副菜は、表6の野菜の仲間や、表3の魚・肉・大豆・卵・チーズを組み合わせて献立を考えます。
牛乳や果物は、献立に応じて3食の中や間食で摂るようにします。
調理方法は、油で揚げるのは控えめにし、煮る、焼くなどしてカロリーを低くする工夫が必要です。また、塩分の量も決まっているので、味付けは薄味にしましょう。
食事療法の基本は腹八分目。食品の種類はできるだけ多く、脂肪は控えめ、食物繊維を多く含む食品を食べる、3食を規則正しくゆっくりよく噛んで食べることです。
最初から完璧な献立を考え、指示通りに食事をとるのはとても難しいと思いますので、少しずつでも指示された単位に近づけるように心がけるといいと思います。規則正しく栄養バランスのとれた食事で、糖尿病の進行を防ぎましょう。
カロリーをとりすぎない工夫
糖尿病に限らず、高血圧や体脂肪を減らすためのダイエットメニューなど、カロリーや塩分を控えた食事はおいしくないと思う人は多いことでしょう。しかし、薄味に慣れると素材の味を楽しめるようになり、食事が楽しくなるばかりか健康にもなります。
糖尿病の人が特に注意したいことは、毎日の食事です。自宅で献立を考えて作るならカロリーも考えて作ることができるのでいいのですが、問題は外食するときです。
外食のメニューはカロリーが高いので、メニューや食べる量に自分で気をつけていないと、ものすごく高カロリーの食事になってしまいます。外食のメニューでは、1食で1200kcalもあるのは普通なのです。
普段から、どの献立はどのくらいのカロリーになるかを把握しておいて、多すぎるようなら残すことも大切です。自分の体のためなので、もったいないばあさんは出てきませんから大丈夫です。
食事のカロリーを減らす工夫としては、揚げ物なら衣や脂身を残す、トンカツの肉が選べるならロースよりヒレを、ラーメンならスープは全部飲まない、残すなら野菜より肉を、という感じでいくといいと思います。
気をつけたいのが丼物で、これはおかずよりご飯がとても多く、天丼やカツ丼に至っては高脂肪・高カロリー食の代表的なものです。丼にするなら親子丼にして、ご飯を残すのが望ましいです。
ハンバーガーやポテトなどのファーストフードは、栄養が偏っているうえにカロリーが高いので、サラダをセットにするとか、ポテトはSサイズにするなど工夫するといいでしょう。
外食では、なるべく和風のセットメニューを選べば、栄養バランスがいいのでおすすめです。
低血糖には要注意
糖尿病の薬を飲んでいたりインスリン注射をしている場合に気をつけたいことがあります。それは、薬やインスリンに血糖値を調整する作用があるため、低血糖になりやすいということです。
低血糖になると、冷や汗が出て、体がふるえたり、吐き気などが起こります。
さらに血糖値が下がると、めまいや疲労感、取り乱すなどの症状が起こり、最終的には意識障害を起こして昏睡状態になってしまう場合があります。
なぜこのようなことになるかというと、人間の体は、必要としているインスリンの量が常に一定ではなく、その時の体の状態に応じて変わるからです。そのため、薬やインスリンが効きすぎて、低血糖になってしまうのです。低血糖は、インスリン注射をしている人は特に注意してください。
いつ低血糖が起こるか予測できないので、ブドウ糖などは常に携帯しておく必要があります。
低血糖の症状が起こったら、すぐにブドウ糖や糖分の入ったジュースを飲んでください。
氷砂糖やアメなどでもいいですが、ブドウ糖やジュースの方が吸収が早いので効果的です。ブトウ糖は、病院のほかにも市販されていますので、簡単に入手できます。
もし、ブドウ糖を飲んでも症状がよくならなければ、すぐに救急車を呼んで病院に行って下さい。また、自分が糖尿病であることを家族だけでなく、友人や職場の人にも知っておいてもらい、このような状態になった場合にすぐに処置ができる環境にしておくことも大切です。
低血糖を防ぐためには、規則正しい食事を心がけ、インスリンのバランスを崩さないことです。低血糖を恐れるあまり、食事を取りすぎると、糖尿病を悪化させてしまいます。
このように糖尿病も低血糖も、毎日の食生活を大切にすることで防げます。
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